「献血してみようかな…」「献血センターに行ってみたい!」と思った方、輸血歴はないでしょうか?
わたしは先天性の心臓病患者でしたので、過去にいろんな方からの献血で助けて頂きました!
ある日、その時のことを振り返って「自分と同じように困っている人を助けたい…!」と思い、献血センターに向かいます!
そこでまさかの、輸血歴があると献血ができないという事実が発覚!
社会貢献を止められて、何とも表現しづらい虚しさに包まれます…。
そのときの体験談と合わせて、なぜ輸血歴があると献血できないのかを徹底的に調べてみました!
目次
輸血歴があると献血できないのはなぜ?理由を徹底的に調べてみた!
献血できる場所を調べる
さっそく献血できる場所がないかを調べます。
そうすると「献血センター」という割としっかりした施設があるのを発見!
調べてみると、献血センターでは飲みものやお菓子が出たり、ダラダラとくつろげるスペースがあったりするようです。
「献血した」というだけですごいVIP待遇…!
「社会貢献&くつろぎスペース…最高じゃん」と思い、ワクワクして最寄りの献血センターへ向かいます。
献血センターに向かう
献血センターに入ってみると、力が抜けるような暗めの照明と、ゆったりした広めのテーブルと椅子で、くつろぐ人達がたくさんいました。
本を読む人、コーヒーを飲む人、うたた寝している人がいて、仕切りがない暗めの落ち着いたネットカフェのような印象です。入っただけで眠たくなってきます(笑)
受付へ向かうと、献血の手順や確認事項が書いたマニュアルを渡されて、同意のサインを求められます。
そこで事件は起きました…
輸血歴のある人は献血できない
献血マニュアルの確認事項を見ていると…
【輸血歴がある方の献血はご遠慮頂いております。】
「・・・・・」
良いことをするんだと思って来た気持ちを、まさかのタイミングで止められたので、何とも言葉が出ません(笑)
その項目に関する注釈を、日本赤十字社の公式ページから抜粋します。
輸血歴・臓器移植歴のある方
輸血(自己血輸血を除く)や臓器移植を受けたことのある方は、現在の検査法では検出できない未知のウイルス感染の可能性が考えられるので、献血をご遠慮いただいています。
ただし、輸血歴・臓器移植歴のある方が、現在何らかのウイルスに感染しているとか、あるいは病気であるからというわけではありません。
あくまでも輸血の安全性を可能な限り高めることを考えてのことです。ぜひともご理解ください。
引用:日本赤十字社
現在の検査法では検出できない未知のウイルス感染?
うーん…、よく分からないけど、危険性があるなら仕方ないのか…
個人の勝手な善意で、他人を苦しめる可能性があるなら本末転倒ですよね…
ぶつけどころのない虚しさを感じて、渋々と帰りました。
後に話題に上がりますので、他の輸血できない条件もまとめておきます。
献血をご遠慮いただく場合
- 当日の体調不良、服薬中、発熱等の方
- 出血を伴う歯科治療(歯石除去を含む)を受けた方
- 一定期間内に予防接種を受けた方
- 6カ月以内にピアスの穴をあけた方
- 6カ月以内にいれずみを入れた方
- 外傷のある方
- 動物または人に咬まれた方
- 特定の病気にかかったことのある方
- 海外旅行者および海外で生活したことがある方
- 輸血歴・臓器移植歴のある方
- エイズ、肝炎などのウイルス保有者、またはそれと疑われる方
- クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の方、またはそれと疑われる方
- 妊娠中、授乳中等の方
引用:日本赤十字社
輸血歴があると献血できない理由は?
詳細に書かれていた「現在の検査法では検出できない未知のウイルス感染」とは何なのでしょうか?
疑問に思ったので調べてみます。
輸血で発症するウイルス感染とは?
そもそも輸血には、いろんな感染症を引き起こす危険性があるようです。
血液を介して伝染する感染体には,肝炎ウイ ルスや梅毒スピロヘータ,あるいは成人 T 細胞 性白血病ウイルス(HTLV-III)やエイズウイルス(HIV-12)などのレトロウイルス,また多く のヒトが不顕性感染を起こす EB ウイルスやサ イトメガロウイルスなどの日常環境に生息する ウイルス,そしてマラリア原虫やシャーガス病 を引き起こすトリパノゾーマ原虫(Trypanosoma cruzi)などの国外の特定の地域に生息す る新興感染症病原体があげられる
引用:日医雑誌第127巻第3号
目立つところでよく聞くのは、肝炎ウイルスやHIVなどでしょうか。
感染症が初期の段階では献血の際に検出できないという問題もあるようで、純粋な献血の危険性も感じますね。
また、輸血による感染症について調べていたところ、1つ大きな発見がありました。
それは、C型肝炎ウイルスの可能性が高い人の条件と、輸血できない人との条件が非常に似ていることです。
C型肝炎ウイルスの感染の可能性が一般より高いと考えられる方
以下のような方々は、C型肝炎ウイルス感染の可能性が一般より高いと考えられています。
- 1992(平成4)年以前に輸血を受けた方
- 大きな手術を受けた方
- 血液凝固因子製剤を投与された方
- 長期に血液透析を受けている方
- 臓器移植を受けた方
- 薬物濫用者、入れ墨をしている方
- ボディピアスを施している方
- その他(過去に健康診断等で肝機能検査の異常を指摘されているにもかかわらず、その後肝炎の検査を実施していない方等)
引用:C型肝炎ウェブサイト
輸血した人、大きな手術を受けた人(特定の病気)、臓器移植した人、薬物濫用者(服薬)、入れ墨をした人、ボディピアスを施している人、というように輸血できない人との条件が一致する内容が多いです。
でも、【1992(平成4)年以前に輸血を受けた方】というのは何故なのでしょうか?
そちらについても調べてみました。
我が国では、平成元年(1989年)12月に全国の日赤血液センターにおいて、C型肝炎ウイ ルス(HCV)感染予防のための検査(HCV C100-3抗体検査)が世界に先がけて導入されました。 平成4年(1992年)2月からはより精度の高い検査(HCV抗体検査)に切り替えられたことから、輸血によるHCVの感染はほとんどみられなくなりました。さらに、平成11年(1999年)10 月からは核酸増幅検査(NAT)によるHCV-RNAの検出が全面的に導入され、血液の安全性は一段と向上しています。
つまり、1992年以前の血液検査では、C型肝炎ウイルスの感染が検出できていない可能性があるということですね。
じゃあ、「1992年以降に輸血を受けたなら大丈夫…」と思いたいところですが、ふらっと献血に行っても輸血歴を証明できるものがありません。
証明書などがあれば、献血したくてもできない人が減るかと思ったのですが、それだけで解決する問題なんでしょうか…?
こういった自己申告的な部分があるのも、責任ある献血を求める、というところにつながっていますね。
現在の血液検査法とは?
1992年から精度の高い血液検査ができるようになったことは分かりました。
しかし、「現在の検査法では検出できない」という記載もあるので、そちらも調べてみます。
日本赤十字によると、現在行われているのは、抗原・抗体検査と核酸増幅検査(NAT)という検査で、血液中にある抗原・抗体を検査して、それでも検出できない初期症状には、NATを用いてウイルス構成を1億倍にして検査するようです。
ただ、このNATを用いてもウイルスを完全に検出できない、というのが現在の血液検査事情のようです。
「1億倍にして検出できないってどうすんの…」と思いましたが、こういった数値を実際に調べてみると、今の医療のすごさがほんの一端でも体感できますね。
NATを使った検査方法だと、以下のような発生頻度になるようです。
- 輸血後B型肝炎は,年間9例程度(約13万人に1人程度)
- 輸血後C型肝炎は,年間1例程度(約145万人に1人程度)
- 輸血後エイズに関しては,6年間発症症例なし
(2005-2010年の日本赤十字社集計より)
引用:愛知医科大学病院
「C型肝炎でも145万人に1人?すご!」と素人目では思いますが、C型肝炎の危険性がない人が献血している、という状況があってこその数値だと思います。
少しでも危険性があるというのであれば、危険度の母数を増やすのはやめた方がいいですね。
「未知の」ウイルス感染とは?
ここまでで、「現在の検査法では検出できない未知のウイルス感染」という言葉の、「現在の検査法」と「ウイルス感染の可能性」を知ることができました。
あと分からないのは、「未知の」ウイルスという部分です。
もちろん言葉の通り、「まだ発見されていない新型のウイルス」という風に捉えるのが自然です。
しかし、これはわたしの想像になりますが、輸血者の場合は「どこから来たのか分からない」という意味で「未知」という言葉を当てはめられると思います。
わたしの場合、10人ほどから輸血されたと聞いているので、それらが入り混じってウイルスの感染源を特定できないということもありそうですね。
もし、わたしの血液を検査して10人の特定ができるような時代になったらすごいですね!
全員に感謝して回る旅をしたいと思います(笑)
まとめ:輸血歴があると献血できないのはなぜ?理由を徹底的に調べてみた!
あらためて、輸血歴があると献血できない理由をまとめます。
献血できない理由
- 過去の輸血の際に、ウイルス検査で取りこぼしがある可能性
- 輸血の時期が証明できない
- (ウイルスの感染源が特定できない)
わたしは良いことをするんだと思って軽い気持ちで献血に行きましたが、裏にはいろんな事情があるんですね…
それよりも、C型肝炎になる可能性が高い人を引用しましたが、当てはまっている方は検査した方がいいかもしれません。
献血できなかったこともショックですが、C型肝炎にかかっていたらもっとショックですよね。
わたしの場合は、1992年よりあとの施術だったので大丈夫だと思いますが…。
不安な方は検査してみてはいかがでしょうか?